世界にはたくさんの国があります。
それぞれに文化が形成されているため、日本で当たり前のように感じていることでも、全く通用しない事が多々あります。
それは、言葉にしてもそうです。向こうの言葉を日本で使用しているのにも関わらず、日本では独自にその言葉が一人歩きし、本家とは違うモノに対して使用されている言葉があります。
その1つがマンション。
日本では当たり前のように使われている集合住宅を指す「マンション」という言葉。アパートや団地よりは上を指す集合住宅地・・・といったイメージがあります。
英語なので、すっかり世界的に共通なモノに対して使用する言葉であるように感じますが、実は欧米ではマンションとは言いません。
英語で「マンション」は「豪邸」という意味を指します。
豪邸も豪邸・・・部屋が20くらいあって、庭には池があり、そこに白鳥が浮いているような広大な敷地と巨大なお城のような家のことを言うのです。
ですから、欧米人に「私はマンションに住んでいます」というと、相当な大金持ちだと思われ、どんな豪邸に住んでいるのだろう、と思われてしまいます。
では、欧米では日本で言うところのマンションはなんと呼ぶのかと言いますと「アパートメント」と言います。
戦争前に建てられたブラウンストーンのエレベーターが付いていない5~6階建てのビルも、ちょっとした高級ホテルのようなドアマン付きのビルも、すべて「アパートメント」と呼びます。
それに、日本のような持ち家のマンションの場合はコンドミニアムと言ったりしますが、自分で買って持っている部屋でも、わざわざ「じゃあ、コンドミニアムに帰ります」というような言い方はせずに、自分の持ち家でも「アパートメントに帰ります」というような表現をします。
ニューヨークに住んでいる時、私はドアマン付きでコンシェルジェがいるフロントがある高層ビルに住んでいましたが、それでもやっぱりアパートと呼んでいました。日本では完全にマンションであり、その中でも豪華な部類に入ります。
しかし、日本にいる友達には「アパートに住んでいる」と言います、すると、日本にある小さな集合住宅を連想されてしまうことが多々ありました。
高層ビルのアパートメントには制服を着たドアマンが立っていて、ドアを開けたり、荷物を抱えて帰ってきたときなどには、キャリアーを持ってきてくれて、部屋まで運んでくれたりして、ほぼホテルと同じような感じなのです。
来客はフロントに申し出て、コンシェルジェが部屋に電話をして許可が下りたらビルの中に入ることができるようになっています。ドアマンがいない古い形のアパートメントの場合は、オートロックが付いているのが当たり前なのです。
日本で言うところの「マンション」にはベランダがありません。ビルの中にエレベーターと廊下があって、ホテルのような感じです。私が住んでいたところは34階で上にはジムとプールがありました。
それでも「アパート」なのです。※ちなみに、アパートという時には「アパートメント」と最後まで言い、アパート、と略して言うことはありません。
ビルの1階にはValetというクリーニングをしてくれるところがあります。ドライクリーニングだけでなく、普通の洗濯もやってくれるのです。その場合重さで値段が決まるのですが、洗濯を自分でしたくない場合などにはとても便利なものです。
サンタクロースのおもちゃが入った袋のようなランドリーバッグに洗濯物を入れて、Valetに出すと、2日くらいで綺麗に同じ大きさに畳まれた洗濯物が返ってくる、というような感じです。
そのたたみ方が素晴らしくて、ちょうどチェストの引き出しに入るサイズに折りたたまれているので、そのまま引き出しに入れればいいようになっているのです。
私も忙しくなってから、Valetで洗濯をしてもらうようにしました。自分で洗濯する時間が節約できますし、何と言ってもとてもきれいになって戻ってくるのが嬉しいのです。
ニューヨークのアパートメントでは洗濯物をベランダに干す習慣がありません。そもそもベランダ自体がありません。
皆、洗濯するときには乾燥機を使って乾燥させていて、一戸建てがないマンハッタンでは洗濯物は乾燥機で乾かすか、部屋干しするかのどちらかになりますし、布団干しなども一切することはありません。
洗濯好きの人にはちょっと物足りないと感じるのかもしれませんが、Valetはとても便利です。
「マンション」と「アパート」と「Valet」。それぞれご理解いただけたでしょうか。
欧米人が言うアパートは、あなたが思い描くよりももっと豪華な建築物を指します。欧米人と家の話をするときは多少話を盛って聞きましょう。笑
反対に、我々が欧米人に家の話をする際は、変にお金持ちだと思われないように気をつけましょう。
日本人がマンションと呼ぶ建物あれは人畜が雨露はしのげるようにしてあるセメントの
箱のことです。正しい呼名は貧ションですね。