もともと銀行というのは、戦後の復興のときに共同出資を募り立ち上がった団体でした。
そして、地域の発展としてお客様から預金を預かり、その見返りとして小口多数の融資を行い、その利ざやが収益として儲けになる仕組みでした。
高度経済成長期を境に、銀行の融資の対象先が、法人の発展のための融資や、個人でもビル経営などの大型箱物案件へと移り変わっていきます。
それ以降経済の浮き沈みは何度もありましたが、現在ではまた個人向けの融資重視の本来の融資スタイルへと変わってきました。
これからその理由とともに、融資対象の移り変わりについてお話していきます。
現代の個人向け融資のメリット
さて、ちょっと前の話ですが、全国的な不況によって売上が下がって困っている会社のために、区や保証協会と呼ばれる団体などが銀行融資をあっせんし、保証する制度が大変流行りました。
これらは全て、銀行が法人へ融資しやすくなる仕組みです。
最近でもその流れはありますが、少し事情が変わってきたようです。
そもそも今日本の中小企業は年々廃業して減っていっています。
その中でも、長年残っている企業というのは比較的耐力があったり、収益性が良い会社であることが多いです。
そして今銀行業界では、そのような優良顧客の取り合いになっているのです。
今、安心して融資してちゃんと返済してくれる企業がとても少ないためです。
それと同時に、最近では個人向けの住宅ローンや消費者ローン商品に力を入れている金融機関が大変多いです。
なぜならそれらも安全だからです。
住宅ローンでは自宅を質権設定し担保になっているケースが多いです。
最近では、利率1%以下の住宅ローンも多いですが、20年~30年と長期に渡って収益性が見込めます。
特に最近力を入れているように感じるのは、銀行提携の消費者ローン商品です。
例えばカードローンやマイカーローンなどです。
それらは、消費者金融の保証のもと高利率で貸出できるため非常に収益性が高いです。
手軽に使えるカードローンなどは繰り返し利用されることからリピート率が高いのです。
フリーランスにチャンス?
そして一つ注目したいのがフリーランスという生き方です。
いわゆる個人事業主です。
個人事業主は、以前は融資を受けにくい形態であることは有名でした。
それはなぜかというと個人事業主はその人次第で明日の売上がゼロになってしまう可能性があるからです。
要するに不安定な業態でかつ法人ほど耐力がないと判断されるのです。
しかし、反面個人事業という曖昧な格から便利な面もありました。
個人事業主はどちらかというと、個人として判断されることが多いです。
そのため、消費者ローン商品などによくある、事業性資金以外での使い道でしか本来借りられない融資が受けられ、結果事業性資金に転用するということが可能だったのです。
今後、またさらに個人向けの融資商品が発売されていけば、個人事業主にとって都合の良い商品が出てくるかもしれません。
最近では、便利なツールや経費ゼロで事業を立ち上げる手段が出てきたため、少しずつですがフリーランスとして生きていく方が増えてきたように感じます。
そこに目をつけ、銀行による新しい商品が出てくるかもしれません。
今後の銀行融資
現時点の状況では、少し個人向け融資に偏った融資需要があるようですが、今後の経済発展にはやはり法人向けの融資に活力が注がれないと上手くいきません。
税制改革は、いまだに日本の赤字の穴埋めをする手段にしか見えません。
少しずつ法人が有利になるような政策が増えてきたかもしれませんが、上手く利用されていないのが現状です。
このような流れも踏まえて政府・金融機関が一丸になって取り組んで頂き今後のよりよい日本作りに繋がって欲しいなと感じます。