2011年4月、自身のアニメーション映画制作会社スタジオ地図を設立した細田守監督。

今となっては細田監督の作品は誰もが目に触れたことはあるのではないでしょうか。

細田監督の密着は、NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にて放送されていました。

細田監督作品と言えば、「時をかける少女」、「サマーウォーズ」、「おおかみこどもの雨と雪」という作品を世に生み出し、宮崎駿さんが現場を去った今となっては、日本のアニメ業界を支える期待と重圧が重くのしかかっています。

そんな細田監督のアニメーション作品にかける熱意や情熱を紹介していきます。

 

 

 
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「時をかける少女」

 

「時をかける少女」は、女子高生はあんなにバカではないという批判もあるかとは思いますが、人間はいつまでたってもバカなものです。笑

あの荒削りの主人公が、人のためにと本気で考え、ぶらぶらと過ごしていた日常生活が少しずつ変わっていき最後には「やりたいこと」を明確に捉え、未来をしっかり見据えて最後にはその目の力が全く違う少女に変化していくという物語が描かれています。

この作品、実は監督としてどん底にいた細田監督の再起をかけた作品だったんです。

 

監督を目指した当初は、幼少期に見た「ルパン三世 カリオストロの城」に憧れてスタジオジブリに入社をしようとしたそうですが、これが受け入れられずに他社に入社します。しかし、そこで培ったものが認められジブリ作品の「ハウルの動く城」の監督に抜擢されます。

意気揚々と作品制作を始めた細田監督ですが、結果としては行き詰ってしまって監督を降板します。

「細田君、これもう無理だね」

担当のプロデューサーに言われたのは2002年4月21日。今でも鮮明に覚えているようです。

これはアニメ業界で今後監督してはやっていけないようなレッテルを張られたようなものであるため、監督を半ばあきらめていた時期もあったようです。

 

その時期に舞い込んできた「時をかける少女」。

アニメ制作会社の丸山正雄さんが長編映画の監督に抜擢してくれたのです。

それが「時をかける少女」というのが何とも震えますね。細田監督は務めている会社を辞めて、裸一貫で制作に臨んだそうです。

 

音楽には奥華子さんを起用。

最後の「友人のために主人公が坂を下っていくシーン」では、奥華子さんの優しくも力強い歌声と楽曲が相まって、思い出しただけでも鳥肌が立つようなシーンに仕上がっています。

 

 

ここで使用された奥華子さんの楽曲は実は当初エンディングテーマとして考えて制作してもらったものだそうです。

しかし、エンディングとしてはしっくりこず、このような起用になったといういきさつがあります。

それが見事なまでにしっくりきており、この作品の印象的な、象徴的なシーンとして語られています。

 

この作品は当初注目されることなく、わずか6つの映画館から上映が開始しました。

しかし口コミで評判が広がり、異例の大ヒットとなりました。

 

 

「バケモノの子」

「バケモノの子」の制作秘話が上記に記述した「プロフェッショナル仕事の流儀」で密着していました。

描いているうちにしっくりこない時は、とことんまで追求して書き求める姿勢は、やはりプロフェッショナルだと感じましたね。

 

細田監督は

「案外、こういう何でもないところで躓くんだよね」

と言って、冒頭のシーンの背景で迷い始めました。

 

(「プロフェッショナル仕事の流儀」にて)

 

結局、背景について、公園、神社・・・と、巡って駐車場に落ち着くのです。

このシーンとは一見かけ離れた場所だけど、こうした何でもないところから始まるものだという結論に行きつき5時間かけて一つのシーンを描き上げたのです。

 

かえでのキャラクター像を探っていくという作業では、意志の強さを強調するためには眉毛をちょっと吊り上げる。

しかし強さが出過ぎて優しさがなくなってしまう。結果、眉は柔らかく、髪の毛を短くすることでその二面性を表現していました。

そして絵コンテで表情を決めていく作業に・・・。

かえでが九太を抱きしめるシーンでは眉毛の丸みが0.1㎜違うだけで印象ががらりと変わります。

 

 

「あー全然違う」

を連呼し続けて、この表情づくりにこだわっていました。

 

 

(「プロフェッショナル仕事の流儀」にて)

 

そうして書き上げたものがこちらになります。

 


こうしたこだわり、正解を見つける作業の一つ一つの積み重ねで一つの作品が出来上がるのです。

 

「プロフェッショナル仕事の流儀」では、アフレコを行うシーンも描かれているのですが、それはまさに監督がこだわって描き続けたものに魂が入っていく作業。ここでも非常に強いこだわりを感じさせました。

 

熊徹が九太の背中を押す最後のシーンでは、声を当てる役所広司さんに注文を出している場面がありました。

それは、細田監督としても非常に大事にしておきたいシーンであったため。

このシーンって「大人が子どもの背中を押すシーン」という風に置き換えることができるんですよね。

細田監督の父は鉄道会社で働く人で、仕事一筋の人。家庭を顧みることはなく関係も希薄だったそうです。

 

そうした自身の叶わなかった父との関係を

「思い返すと、何かもっとあれこれ親父と話せばよかったなとか、気持ちがすれ違ってね、くっそーと思ったりとか、そういうことをもっとやればよかったなっていうふうに・・・。
その後悔っていうのを何か・・・埋めて、何らかで埋めなきゃと思ってるんじゃないのかなっていう・・・。」
(「プロフェッショナル仕事の流儀」にて)

と語っています。

 

そのため、このシーンは直前になって手直しを加えたほど思い入れのあるシーンなんです。

 

細田監督は声優を務める役所さんに対して

「かなり、肯定的に・・・励ますようにっていうのかな。九太をすごい認めてる、これ九太に限らず多分(世の中の)若い人がみんな、これは聞きたいセリフだと思うんですよね。
「お前、やってみろ」的な。
だから、これすごく背中を押すような、すごく期待してるぞ的な、そういう肯定的にお願いします。」

と注文しています。この映画の最も見どころのあるシーンです。

 

 

 

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入道雲への想い

細田監督の作品には入道雲が非常に特徴的に描かれており、印象的なシーンには多く登場してきます。

 

 

個人的には「時をかける少女」での入道雲が非常に印象が強かったですね。もくもくと存在感のある縦に伸びた雲が、作品全体、主人公の成長しようという思いとシンクロし、感動的な感情を強めてくれます。

 

この入道雲に対する細田監督の想いというのには以下のようなものがありました。

 

(「プロフェッショナル仕事の流儀」にて)

 

 

(「バケモノの子」製作発表会見にて)

 

これって非常にわかる気がします。子供の頃って今のように自分で稼いだお金で、自分が観たいと思えばたとえナイターでも観に行けるという環境ではなく、なかなか映画館に足を運ぶことはないんですよね。

その中で、大体足を運ぶ機会となるのが夏休みなどに後悔されるアニメーション映画。ドラえもん、クレヨンしんちゃん、ポケモン、ジブリ・・・などなど。

そこで、得たモノ。鮮明には覚えていないですが、子どもながらに感じたものはたくさんあったと思います。子どもの頃に観た「ルパン三世 カリオストロの城」がきっかけでアニメーション制作の世界に入ってきた細田監督なりの子供たちへのメッセージなのでしょう。

 

上記の自信の子供の頃の父との関係の後悔の思いがこもっているシーンのアフレコでは

 

とインタビューにて語っています。

 

インタビュー

「プロフェッショナル仕事の流儀」では映画について語る印象的なインタビューがありました。

 

(「プロフェッショナル仕事の流儀」にて)

 

 

こうして自らの魂を込めた作品を世に出しています。それを映画館に足を運べば観れてしまう。SVSを購入すれば何度でも家で観れてしまう自分たちは非常に幸せなのだと思います。

私は好んでアニメ作品を見るタイプの人間ですが、この言葉は何か自分がなぜアニメーション作品にひかれているのかを言葉にしてくれたように感じましたね。

これは映画や、物語を紡い亜作品ならばすべてに当てはまるものだとは思います。

 

最後にNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」にて語られたお決まりのようなインタビューを紹介します。

 

映画とは?

「未来っていうか、まだ見ぬ世界。これから来るべきまだ見ぬ世界。」

 

 

プロフェッショナルとは?

 

「わかんないよ、そんなの。俺はプロフェッショナルなのか・・・?
・・・映画っていうか、映画を作ることの心理を見極めたいと思ってる。」

 
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