医学部が熱い!
一昔前までは医者一族の専売特許のようなイメージが強かった医学部ですが、今では色んな人が色んな動機で目指す場所となっています。
では、その理由とは・・・?
現在、医学部の志願者が急増しています。
10年前には、多い大学でもそれほどの過熱ぶりはありませんでした。
2014年の聖マリアンナ医科大の志願者は3500人を超えており、一般入試の倍率は約35倍もの倍率になります。
ちなみに近畿大学の医学部の後期試験は、2014年には237倍もの倍率になっています。
国公立大学に関してはセンター試験を受験する必要があり、国語や社会などに関しても一定レベル以上の学力が必要となります。
これが大きな負担となりますので、最初からあきらめている受験生も多いです。
なぜこれほどまでに医学部受験が加熱しているのでしょうか。
その最たる理由として、まずは医学部受験を取り巻いている、経済状況の変化があるといえるでしょう。
医学部志望者増加の理由|私立医学部が学費を下げた
まず、少子化が進む中
私立の医学部が学費をかなり値下げしているという理由があります。
少子化が進む中で、大学側は学費を値下げすることによって、より優秀な学生を確保しようとする動きがあります。
中には1000万円以上も値下げをしている学校もあり、それが人気に火を付けている大きな理由だと言われています。
さらに、奨学金や貸付制度などの制度も充実しているといえます。
医学部志望者増加の理由|子供や孫への一括贈与制度
さらに、医学部入試が過熱している理由として、「子や孫への教育資金の一括贈与制度」があります。
この制度は子や孫に教育資金を贈与したい場合には、1500万円ならば非課税となるというもので、相続税の節税対策としても人気となっています。
実際は孫への贈与が大半と言われていて、両親の経済力がそれほどなくとも祖父母がこの制度を利用することで、学費を賄うことが出来るようになりました。
私立大学というと、高額な学費がかかるというイメージがありますが、こういったお金の工面や経費の状況の変化により一般家庭からも私立医学部を目指すことが出来るようになりました。
このため、医学部受験がこれまでにないほど加熱しヒートアップしているのです。
医学部志望者増加の理由|リーマンショック以降の不況
医学部志願者が増えている理由として、リーマンショック以降の不況と関係があるようにも思われます。
いうならば、最近では手に職を付けて、一生食いっぱぐれないようにしたいという意識が強まっているといえるでしょう。
親も子供にそう助言することが増えてきていて、その一つの道筋として手に職系の職業として最高峰の医師を目指し始めたというのが大きいといえます。
日本では今は資産家や大企業の役員の方も、子供を医学部にと志願する方も増えています。
予備校などでも、医師家庭ではない子供が医学部を受をめざす生徒が増加している傾向にあります。
それだけ、日本の社会は将来の展望が見えないということでしょう。
ソニーなどの大企業がリストラをする時代なので、変動が起きれば会社はだめになるかもしれないという危機感を持っている方が多いのです。
医師ならば食いっぱぐれがなく、ぜひ子供にも医師になってもらいたいという風に考えても不思議ではありません。
医学部志望者増加の理由|東大神話が崩れる時代
明治以降の日本では、東大に入ることが出来れば将来は安泰であり、いい仕事につくことが出来て立派な暮らしが出来るというような・・・いわゆる「東大神話」がありました。
しかし、現代ではこういった東大神話と呼ばれるものが崩れつつあるのです。
多くの人材を輩出してきた最高の学府である東京大学は、弁護士に代表される法曹界も非常に人気でした。
しかし、司法試験改革で合格者数が増えたけれど、法曹の需要は思ったほど伸びずじまいで、弁護士も就職難に陥るという時代になっているといえるでしょう。
法曹界を目指そうという若者は年々減り続けており、法学部や工学部、経済学部などの専門課程に分かれる法学部は人気に陰りが見えていて、法学部の進学希望者は2012年には定員割れをしています。
これまでは法曹界を目指していた優秀な人材なども、今は医学部に参入してきているのです。
医学部志望者増加の理由|女性志願者が急増している
さらに、医学部を目指す受験生の半分が今は女性であると言われています。
これからは、自分で稼いで生きていく時代であるという意識も、女性に高まっているといえるでしょう。
何をして稼ぐかと言うことを考えたときに、女性に感心が高い分野が医療などの分野です。
特に子育てや赤ちゃんなどライフサイエンスの世界は女性にとっても関心が高く、人気というデータがあります。
こういった流れの先に、医学部があるといえるでしょう。
昔から、優秀な理系の女性は医学部を考える傾向が強かったです。
しかし、今はその動きがいっそう堅調になっていると言われていて、女性の受験生、そして浪人生も増えています。
このように、医学部を志望している学生が増えています。
志望するのは良いのですが、そこにたどり着けない人は・・・
実は医師は資格さえあればパートでも高収入が得られる職業で、出産後もパートが出来るという理由で目指す方も増えています。
そのため、女性にとっては非常に都合の良い資格と言えますね。
今後は正社員という雇用形態も崩れ、人間がする仕事も減少していく中で、医学という分野は生き残る仕事なのか。