昨今ではインターネットの発達をはじめ爆発的なSNSの流行が進んでおります。
さて日本において新年の習慣として年賀状があります。
日本郵便における調査ではその年賀状の発行部数が2004年頃をピークに減少しているとのことです。
何故年賀状が年々減少していっているのでしょうか?
すぐ思いつく理由としては冒頭にもお話したSNSの急激な流行です。
たしかにSNSに限らずインターネットを利用したツールはいつでもどこでも好きな相手に気軽にメールやメッセージを送ることが出来ます。
今や日本だけでなく世界中の方々とコミニケーションが出来るこんな便利なツールは使わない手はないでしょう。
それでは日本ではSNSが直接とした原因なのでしょうか?
日本は年賀状|アメリカはカード
ここでアメリカに置き換えて考えてみましょう。
アメリカでは日本でいう年賀状に当たるものはクリスマスカードやグリーティングカードになります。
アメリカでは元々カードを送り合う習慣が昔からありました。
同じくインターネットが急発達した国であるアメリカでもこのカードを送る習慣が減少しているのでしょうか?
答えはイエスです。
しかし日本とは少し事情が異なるようです。
日本では年賀状が40億枚辺りから30億枚まで減ってきたそうです。
対してアメリカでも同様に10億枚ほど減少し、約70億枚ほどのカードが贈られているようです。
しかしアメリカでは紙媒体のカードの代わりに地球環境などの観点から電子グリーティングカードが贈られており今は約5億通ほどの市場のようです。
つまり、そもそも「送る行為」という慣習を行っている人の数はそこまで減少してはいないのです。
日本では、確固たる電子年賀状というのは確立しておらず、何となくSNSでの挨拶へと移行している段階です。
おそらく電子年賀状のシステムを確立できれば、一定数のユーザーを取り込むことができる商売だと言えるかもしれません。
年賀状の目的と現状
次に「そもそも誰に年賀状を贈るか」ということを考えてみましょう。
一年間お世話になった人、仲の良い友人、家族や親戚、会社の上司や同僚、会社のお客さん等々様々なケースがあります。
最近では人間関係のもつれやいざこざに関するニュースが絶えません。
今は家族であっても仲が悪く一切話さないなんていう話も決して珍しくはありません。
会社ではどうでしょうか?
今は会社の上役の方のちょっとした業務上の指示や退勤後の飲みの誘いがパワハラやセクハラと捉えられる事案がとても多く若い部下とのコミニケーションを取ることが大変難しいものとなってきています。
そうなれば個人情報がたくさん詰まっている年賀状を送るなどという行為自体も徐々に手控えていくことでしょう。
また経済的な問題や単純に手軽さからメールやSNSなどを使った挨拶へと代わっていったのではないかと考えられます。
年賀状を復活させるために必要なこと
2003年には44億枚を超えた枚数が送られていましたが、2016年には30億枚を割ってしまいました。
それでは日本での年賀状は年々減少を続け最後はこの習慣が無くなってしまうのでしょうか?
それはとても悲しいことですね。
時代が時代ですので、無理して残す文化でもないかとは思いますが、年が変わって一番はじめの挨拶の習慣です。
なくなってしまわないために何か対策はないのでしょうか?
まず考えられることはこの日本の景気をはじめとしたネガティブな空気を一掃することです。
そうすれば徐々にまた「年賀状を買ってまで出したい」という動きが出てくることでしょう。
しかしこれをすぐ解決するにはとても非現実的です。
他に考えられるのは年賀はがきの売り方を変えるということです。
はがきは基本的に金券扱いされるためにクレジットカードなどでの購入が出来ないケースが大変多いです。
クレジットカード払いが出来るお店は売上が上がる傾向が高いです。
クレジットカード販売を可能にして売上拡大を図ることが一つ。
そして次は郵便局員のはがき販売ノルマの撤廃です。
毎年過剰なノルマを課され金券ショップに大量に売る局員が多く存在するようです。
その分金券ショップでは本来より安くはがきが購入できるのですが局員の持ち出し分があることによる損失や意欲の低下に繋がります。
また年賀状販売店自体が淘汰されて販売店が少なくなる可能性も秘めています。
そうするとメールやSNSより手間が掛かる年賀状である上にもっと手に入りにくくなるようなことがあれば利用者がどんどん減っていきます。
以上のように日本において年賀状発行枚数の減少には実はインターネット技術の向上だけではなく非常に深い事情が絡み合っているのです。
日本の習慣である年賀状が撤廃されないような風潮が出てくることを祈ります。