「天空の城ラピュタ」・・実は1986年に劇場で公開された当時の観客動員数や興行収入はジブリ作品の中でワースト1の作品なんです。
同時期に公開されていたドラえもんの映画などに押されたようです。
それが今や大人から子供まで、日本だけでなく世界にも愛されている名作として、数あるジブリ作品の中でも1位2位を争うほどの人気ぶり・・世の中分からないものです。
私も何度も何度も見て大好きな作品です。が、大人になって気付く、ドーラの息子達の行く末の暗さ。
シャルル(長男)、ルイ(次男)、アンリ(三男)・・マザコンの上にロリコンだなんて絶望的すぎる・・・Orz
今回は、そんな「天空の城ラピュタ」のちょっとした疑問点や地味に気になる点をまとめてみました。
■ムスカは何故目が弱いのか?
ムスカと言えば、ジブリきっての悪役であり、同時に若くして大佐になった超エリートです。そのエリートぶりはなかなか凄まじいものがあります。
軍人のランクは下から順に、このようになっています。
二等兵 → 一等兵 → 伍長 → 軍曹 → 曹長 →
准尉 → 少尉 → 中尉 → 大尉(「紅の豚」ポルコ・ロッソは元大尉) →
少佐 → 中佐 → 大佐 → 准将 → 少将 → 中将 → 大将 → 元帥
ムスカの階位を覚えていますか?
大佐です。
ムスカはポルコよりも階級が上なんです。ちなみにポルコは36歳、ムスカは28歳です。一般的に28歳の若さで大佐になるなんてありえない飛び級ぶりです。
准将から大将は「将軍」と呼ばれます。

「君のアホ面には心底うんざりさせられる。」
とムスカに侮辱されていたモロウ将軍は中将で、実はムスカより3ランク上なんです。笑
王の血筋を持っているあたり、根っからのエリート気質が染みついてしまっているのでしょう。
そんなハイスペックなムスカですが、唯一と言っていい弱点があります。
それは、視力の悪さ。度の入ったサングラスをかけて目を保護しています。
彼は、パズーとシータが唱えた滅びの呪文である「バルス」によって飛行石から放たれた強烈な光で目を潰されていましたが、「何故パズーとシータの方が飛行石に近い位置にいたのに大丈夫だったのか?」というと、単に元々ムスカの目が弱かったからなんです。
ムスカの瞳の色は金色、目の色素がかなり薄いため、サングラスをしていても防ぎきれなかったようですね。でも、どうしてムスカは視力が弱いのでしょうか?

「目が・・目があぁぁぁ・・。」
というセリフを言わせるため?目を潰して逃げ道が分からなくさせ、確実にムスカを破滅させるため?ムスカが崩れゆくラピュタの瓦礫に混じって落ちていくのはあまりにも有名ですね!
しかし、宮崎監督は何にでも意味を持たせる方ですから、それらは正しいこと絵ではありません。
では、何を意図された演出なのでしょうか。
作品中においてムスカは、シータとムスカの一族は元々1つのラピュタ王家で、地上に下りた際に2つに分かれたと話していましたね。 同じ一族でもシータは本家、ムスカは分家の末裔です。
両家とも地上に降りた当時はゴンドアの谷で生活していましたが、 ムスカの祖先は産業革命が起こったのを好機としてゴンドアの谷での農耕生活を捨てて谷を去りました。そしてラピュタへの帰還を目指すのです。
シータの一族がどんどん廃れていったのとは反対に、ムスカの一族は産業革命の波に乗り、皮肉にも権力・財力的には完全に逆転しまいました。 ただ、ムスカの一族はごく少人数であったため、王族の血をより濃く残すために近親交配を続けていたのです。
近親交配のリスクは、劣性遺伝子が蓄積するため、徐々に子供を妊娠しづらくなったり、障害も持つ子供が生まれてきてしまったり、五体満足でも虚弱体質だったり、身体の一部分が極端に弱かったり・・例えば、目とか。
ムスカが一族から受け継いでいたのはラピュタ帰還の使命だけではなかったのです。自然の理に従わなかった一族の代償をも背負っている・・という説があるのです。あの破綻した冷酷な性格も近親交配を繰り返してきたからが故かもしれません。ムスカもまたラピュタに翻弄された被害者だったのかもしれませんね。
でも、ムスカには彼の血を受け継ぐ子供がいるんです!
「未来少年コナン」で敵役・レプカはムスカの子孫だという裏設定で、ムスカの初期設定画では軍服姿であり、レプカにそっくりなんです(笑) 子孫もまた敵役っていう点がムスカらしくて良いですね☆。
ちなみに、ムスカ(musca)はラテン語で「ハエ」という意味なのですが、ムスカはハエなどの小さい虫が大嫌いだそうです。(絵コンテに記載されています)
泣く子も黙る冷酷無比なムスカ大佐、少し見方が変わったでしょうか?
■パズーが心変わり!?
パズーの声優さんは「ドラゴンボール」のクリリン、「ワンピース」のルフィで有名な田中真弓さんです。
天空の城ラピュタの劇中では、

「私のためにパズーを海賊にしたくない!」

「僕は海賊にはならないよ。」
というやり取りがありました。そのやり取りが行なわれた約10年後の1997年、

「海賊王に、おれはなる!」
と、断言しています(笑)
実は「ワンピース」の作者である尾田栄一郎さんは「天空の城ラピュタ」のパズーの声を聞いて、彼の中でルフィの声が決定したのだそう。
そしてそれは奇跡的に実現しました!
「ワンピース」‘空島編’に登場するエネルの方舟‘マクシム’は、「天空の城ラピュタ」のオープニングで流れる船の設計図と酷似していますし、 「千と千尋の神隠し」で千尋が銭婆に会いに行くために利用した電車(海原鉄道)が水面を走る様子は、「ワンピース」‘ウォーターセブン’の海列車によく似ているような気がします。(ウォーターセブン編はイタリアの水の都ヴェネチアもモチーフにしているそうですが)
累計発行部数が世界で3億部を超える超大作に影響を与えているジブリ、意外なところでリンクしていたのです。
■ラピュタの名前の由来とは?アメリカでムスカは気が短くなる
ラピュタ・・という名前、作品中ではパズーがこう言っています。

「ガリバー旅行記で、スウィフトがラピュタのこと書いてるけど、あれはただの空想なんだ。これは、父さんが書いた想像図。
今はもう、誰も住んでない宮殿に、たくさんの財宝が眠ってるんだって。」(‘父さんが書いた想像図’もほぼただの空想ですけどね。)
そんな訳で、名前の由来はジョナサン・スウィフト原作の小説『ガリヴァー旅行記』に登場する空飛ぶ島からきています。
しかし、このラピュタ(La puta)とはスペイン語で「娼婦」「売春婦」という意味があり、それを考慮してアメリカ版の「天空の城ラピュタ」は「Castle in the Sky」となり、ラピュタという単語は入っていないのです。そのため、アメリカで「ラピュタ」という言葉は通じないんですね。
ちなみに、アメリカ版「Castle in the Sky」では、物語終盤のパズーがムスカに

「シータと話がしたい。」

「3分間だけ待ってやる。」
という会話、このシーンは語呂の良さなどを考慮されてなのか、ムスカは1分間しか待ってくれません。
セリフは確認できなかったのですが、「Just for a minute.」でしょうか?アメリカ人には「Just for three minutes.」より良いのか・・?。海を渡って、ムスカの気が短くなっています(笑)
ちなみに、パズーがドーラに

「僕も連れて行って!」
と頼むシーンで、日本版ではドーラが「40秒で支度しな!」と言いますが、「Castle in the Sky」では「1分で支度しな!」と、ドーラがやや気が長くなっているんですよ(笑)
■おかみさんの裁縫スキルの高さ
海賊に追われたシータとパズーが親方の家に逃げ込みますね。
親方がドーラの息子シャルルとの筋肉勝負で破いたシャツ、おかみさんが、「誰がそのシャツを縫うと思ってんだい?」 と言いましたケド・・
これですから!!!
もう無理じゃない?
このシャツはもはや縫えばどうこうなるレベルを超えて、完全に再起不能だと思うのですが??
可燃ゴミでしょ?
ジグソーパズル並みにちりじりになってますよ。
どうにかする気でいるおかみさんの裁縫力は神業レベルかも!
余談ですが、ダッフィーと言えば、私達の世代は、東京ディズニーシーのオリジナルキャラクターである‘航海に出るミッキーが寂しい思いをしないように、ミニーちゃんがミッキーにプレゼントした手作りテディベア’を思い浮かべますよね。
ちなみに、この親方、ダッフィーという名前なんですよ(笑)
最後に地味に気になる点と言えば、パズーがカバンの中からパンと目玉焼きを出してきてシータにふるまってくれますが、あれ、そのまま出てくる気がするんですよね。ラップとかで包んである気配はなし。
少し調べてみたところ、ラップが発明されたのは20世紀の初頭。
「天空の城ラピュタ」の時代背景は産業革命の頃のヨーロッパなので、18世紀後半頃です。残念ながらこの時代、ラップは影も形もありませんね。ラップが無理なら、せめて紙とかに包んであったのなら良いのですが・・。衛生的に気になる・・。
それから「ハウルの動く城」に登場する不格好に動くあのハウルの住むお城、実はラピュタが滅びの呪文で崩壊して(ムスカとともに)落ちていったたくさんの残骸で出来ている、という噂もあります。気になります!
以上「天空の城ラピュタ」で気になる点でした!