スコーピオン白鳥というプロレスラーをご存じだろうか?まあ、漫画の登場人物なわけなのですが。
漫画「リアル」に登場してくるヒール(悪役)のプロレスラー。
その生き様が格好良すぎるので、紹介します。
漫画「リアル」は井上雄彦先生が執筆している登場人物のリアルな人生をつづった漫画です。
「リアルな人生」というだけあって、需要人物だけではなくその周囲の人物まで人間らしい細かな描写があり、読んだ人は必ずどこかで共感してしまい、鳥肌が立つような感覚を覚えることだろう。
作品の大きなテーマになっているのは、「車いす」と「バスケット」。
スコーピオン白鳥は、事故で足が動かなくなってしまったプロレスラー。
そんなスコーピオンの人生論を紹介します。
自分を信じる
スコーピオン白鳥の言葉にこのようなものがあります。
「オイ、おぼえときな。
例え誰もがムリと決めつけたとしてもだ。
それがどうした。俺はプロレスラーだぜ」
「『ありえねえ?』 俺の辞書には ありえねえ」
これはプロレスラーとして無理を言い続けてきたスコーピオン白鳥だからこそ言えるのかもしれません。
しかし、目標や実現しようとしていることをアウトプットし続けるということは、このサイトで書いてきた他の人生論でも語られていることですね。
自分を信じて思い込む力が、現実に「非現実的なこと」を呼び込む重要なファクターなのです。
さらに、以下のような言葉も。
「他人が俺にどれだけレッテルを貼ろうとも、
俺だけはダマされない。
本当の俺を安く見積もりはしない」
ここまで自分を信じられる力は正直凄いと思います。
しかし、決してスコーピオン白鳥は自分のことが大好きではない。
彼がプロレスラーの弟子として入門した当初、共にくいしばってきた松坂という選手がいました。
二人は着実に力をつけ、事務所の看板にまで上り詰めました。「ライジングサンズ」というタッグを組み、飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
しかし、「太陽は二ついらない」と社長に言われ、白鳥はヒール(悪役)修行のため、海外に派遣されます。
その過程には、スポットライトのもとで活躍をする松坂に対する嫉妬と、自分に浴びせられる馬頭に耐える日々が続き、そのストレスでついに家庭崩壊にまで至ってしまいます。
愛娘すらも自分お手元から離れていったのです。
スコーピオン白鳥は、そういった自分の弱さを知っており、自分のことが嫌いです。
しかし、自分のことを応援している人たちのことを理解し、いつだって「スコーピオン白鳥」であり続けているのです。
自分を信じ続けた結果、努力を惜しまず、事故から3か月でプロレスのリングに上がります。
立つのがやっとの状況ですが・・・。
観客は誰一人立つのがやっとと言う状況を知りません。
その試合の相手は、松坂。
日本一のヒールとして、人気が低迷していたプロレスを再び復活させる仕事を成し遂げます。その試合で、ファンに対する言葉がありました。
誰も認めてくれねぇか。いねぇことにされてるか。
知ってるぞ、お前らと言う人間がいること。
このでけぇ声で呼んでやる。
「おいクソ野郎ども、リングにいる限り俺は
プロレスラースコーピオン白鳥なんだよ!!」
社会で取り残されている人間が自分のプロレスを見て、うっぷんを発散していることを白鳥は知っています。
誰も味方がいないような気持ちになるとき、このような言葉をかけてもらえるだけでも涙が出るほど嬉しかったりしますよね。だからこそプロレスは時代を超えても熱狂的なファンを獲得しているのかも知れません。
自分が「クソ野郎」だからこそ、「クソ野郎」に送った言葉。しびれます。
ひたむきな努力
しかし、当然自分を信じるだけでは目標を実現することはできません。
努力をするために自分を信じるといってもいいかもしれません。
それを象徴したような言葉があります。
「どうするべきか知ってる。
口を閉じて・・・ただ脚を・・・じゃねえ、腕を動かせ!!
いつか必ずやってくる・・・『できるようになる』その瞬間まで」
これは車いすで激坂を上るトレーニングを行うために、ストップ&ゴーを練習している場面での言葉。スポーツをやっていた人には非常によくわかるのではないでしょうか。
また、勉強などにも当てはまりますよね。
「いつかできる」その瞬間を得ようと、その一瞬の何倍もの時間を費やしてトレーニングする。
くじけてしまう時もあるでしょう。
しかし、自分を待つファンのために、自分を奮い立たせるために、自分を信じて努力を続けるということですね。
逆境を楽しむ
上記に上げた事故後3か月で行った試合でスコーピオン白鳥は引退を宣言しました。
その後もリハビリは続くのですが、復帰をしようかと発言します。
周囲には信じられないという言葉が聞かれましたが、そこでスコーピオン白鳥がいった言葉が
「信じられないことほど
実現した時のインパクトは絶大」
車いすという絶望的な状況に陥ってもなお、3カ月でリングに立つという目標を掲げたスコーピオン白鳥を支えていた心情でしょうね。
周囲が期待しなくなったり、失望したり、ムリだと思ったりしても、そこでその環境を楽しみ、実現した時の周囲の反応を想像して目標を達成するのです。
逆境の時に周囲が想像する通りの反応をすれば、同情こそされるでしょうが、前へは進めません。
逆境こそ、思いっきり反発してやりましょう!
最後に、スコーピオン白鳥がファンの「クソ野郎」に送った言葉で締めます。
「カスだろうが、クズだろうが、
一人の人間には人を支える力があるぞ」
酸いも甘いも経験したからこそ出る暖かみのある言葉です。